Françoise-Claire Prodhon

  • 2016年12月8日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    PARIS COSMOPOLITE <BR />MÉTIERS D'ART 2016/17 SHOW

    PARIS COSMOPOLITE
    MÉTIERS D'ART 2016/17 SHOW

    カールラガーフェルドは、シャネルの2016/17メティエダール コレクション パリ コスモポライトの舞台にリッツ パリを選びました。マドモアゼル シャネルが自身の住まいと称した、伝説の5つ星ホテルに招待された特別なゲストたちは、ランチタイム、ティータイム、そしてイヴニングと、「カフェ ソサエティ」の雰囲気に満ちたショーを堪能しました。パリならではのシックなコレクションは、クリーム、ホワイト、ネイビー、ブラックというシャネルを象徴するカラー パレットに、ゴールドのバリエーションを取り入れ、さらに大胆なレッドをアクセントとして効かせています。オープニングを飾ったリリー=ローズ デップに続いて、アンバサダーや20人ほどの華やかなセレブリティたちが次々に登場します。それはまるで、世界中のエレガントな女性たちに親しまれてきたこのホテルの精神を体現するかのようでした。

    目元を彩る小さく繊細なベール、髪にはローズの花冠を飾り、足もとにはブラックやホワイトのパテント レザー ヒールのオックスフォード シューズ、あるいはスウェードのパッチワーク サイハイ ブーツ。モデルたちが纏う約70種類のルックには、メディエダールのアトリエの洗練性とサヴォアフェール(匠の技)が余すところなく表現されています。

    デイウェアとして着用するツイード スーツは、ジャケットのウエスト部分がフィットしたスタイルで、ブレードやビーズ細工、ローズ、エンブロイダリーがあしらわれています。今シーズンを象徴するシルエットはペンシル スカートとラップアラウンド スカート。カプリ パンツを合わせたルックも登場しました。ジャケットは、スペンサー ジャケットをチュニックの上に、ボレロをロング ガウンの上に合わせて、アイコニックなスーツにモダンなひねりを加えています。パンツ スーツや、ツイードやゴールド スパンコールのタキシード、バイアスカットのスカートを組み合わせた襟幅の広いロング コート、ケープ、キルト ジャケットは、さまざまな種類のツイードやデニム、フェルト、カシミヤ、マラブーといった素材で展開されています。ニットウェアのバリエーションも豊富で、美しい刺繍が施されたプルオーバー、ロング ベスト、ロング スカーフやハットが、デイウェアだけでなくイヴニングウェアにも温もりを添えていました。

    イヴニングは、チュールやプリュムティ刺繍、オーガンザをあしらった煌びやかなスタイル。ロング ガウン、シース ドレス、スワール スカートやパンツ スーツを飾るのは、エンブロイダリー、サテンやベルベットのボウ、クリスタル メッシュ、オーストリッチ フェザー、マラブー。エンブロイダリーを施したバッグや、幾重にも連なるビーズ細工は壮麗なアクセサリーとして、モダンなパリ シックを体現するエレガントな女性たちを讃えています。

    フランソワーズ=クレール プロドン

    © Anne Combaz

  • 2015年10月7日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    SS 2016 READY-TO-WEAR COLLECTION <BR />CHANEL AIRLINES

    SS 2016 READY-TO-WEAR COLLECTION
    CHANEL AIRLINES

    時刻は午前10時30分。グラン パレに、パリ-カンボン空港 ターミナル2C ゲートn°5が出現しました。シャネルの2016春夏 プレタポルテ コレクション ショーのためにしつらえられた、チェックイン カウンターが連なるランウェイ。シャネル エアラインの乗客、そして客室乗務員に扮したモデルたちが、99のルックに身を包みランウェイを進みます。

    カール ラガーフェルドが提案するのは、快適さとエレガンスを兼ね備えたウルトラ フェミニンなワードローブと、シックで機能的なアクセサリー。ブルーのバリエーションはスカイ ブルーからミッドナイト ブルー。加えてホワイト、レッド、メタリック グレーとブラックが織りなすカラーパレットが、プリントとともにルックを彩ります。直線的なラインと柔らかなパンツ、ボリュームのあるスカートの組み合わせを基調とするシルエット。その魅力を引き出している素材は、ツイード、デニム、レザー、レース、ギピュール、シルク、そしてオットマン。シャネルを象徴するスーツは、襟やポケット、ブレード、ボタンといったディテールを削ぎ落とし、原型に新たな解釈を加えつつも、一目でそれと分かる「絶対的な存在」へと高められています。

    出発ロビーの電光掲示板のプリント、矢印の標識、飛行機のモチーフ――空の旅の要素を取り入れたニットやシルクから、カール ラガーフェルドの遊び心がうかがえます。旅行客に扮したモデルたちの髪型はダブル ポニーテール、足もとはソールの光るウェッジ サンダルや、シルバー レザーのオープン ブーティ、そして手にはトロリーケースを携えています。カール ラガーフェルドはそれを「ココ ケース」と名付けました。

    イヴニングは、ジャケットや、飛行機のキャビンにインスパイアされたシルバーのエンブロイダリーとグログランのリボンがあしらわれたタンクトップに、ワイド スカートとパンツを合わせたルックが登場しました。

    フランソワーズ=クレール プロドン

  • 2015年7月9日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    THE BRIDE <BR />FALL-WINTER 2015/16 HAUTE COUTURE

    THE BRIDE
    FALL-WINTER 2015/16 HAUTE COUTURE

    2015/16秋冬 オートクチュール ショーのフィナーレを飾ったルックは、カール ラガーフェルドによる、とっておきのサプライズ――タキシード姿の花嫁――でした。ホワイト サテンのウェディング スーツを身に纏い、歩みを進めるケンダル ジェンナー。それは極めて型破りな花嫁でした。ワイド ショルダーのダブルブレスト ジャケットはエポーレットとポケットが4つ、ボタンは2列に配され、ラペルにカメリアを添えてフレア パンツを合わせたスタイルは、マスキュリンとフェミニンの2つの要素と戯れているかのようでした。
    グラフィカルであると同時にリラックスしたラインのタキシードにアクセントを加えるのは、幾何学的な形が印象的なバックストラップのブーティー(コレクションのすべてのルックに取り入れられ、ブラックやアイボリーのバリエーションも)。伝統への恭順を示すのはただひとつ、刺繍が施されたチュールのロング ベールで、肩から流れ、うねるような曲線を描くトレーンが、シルエットにフェミニンなニュアンスを添えています。

    Françoise-Claire Prodhon

    © Benoit Peverelli

  • 2015年7月9日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    FALL-WINTER 2015/16 HAUTE COUTURE

    FALL-WINTER 2015/16 HAUTE COUTURE

    2015/16秋冬 オートクチュール コレクション ショーの舞台は、この日のためにグラン パレのメインホールにしつらえられたアールデコ様式のカジノ。スロットマシンやルーレットのほか、ブラックジャック テーブルには、クルピエと呼ばれるディーラーが待機しています。プライベートでエクスクルーシブな社交場を意味する「Le Cercle Privé」と名付けられたカジノに、優雅な足取りで来場するゲストたち。シャネルを愛する20人のセレブリティが、ショーへの期待感を高めるように次々に中央のテーブルに集まります。先頭はクリステン スチュワート、続いて、ジュリアン ムーア、ジェラルディン チャップリン、イザベル ユペール、リタ オラ、ステラ テナント、ララ ストーン、リリー コリンズ。そして、ヴァネッサ パラディと娘のリリー ローズ デップ、さらにはアリス デラル、ヴィオレット ドゥルソが登場しました。

    それぞれにシャネルを纏い、マドモアゼル シャネルが1932年に発表した最初のハイジュエリー コレクション「Bijoux de Diamants」(ダイヤモンド ジュエリー)の復刻ピースを身に着けています。このゲストたちが体現するものは、当時、大胆な賭けに出たマドモアゼル シャネルのエレガンスそのものでした。常に完璧を追求するシャネルは、一日限りのカジノであっても、あらゆるディテールに妥協を許しません。カンボン通り31番地、カメリア、そしてマドモアゼル シャネルが愛した数字(特に5)などのモチーフがスロットマシンで回転し、グレーとベージュの幾何学模様のカーペットには、トランプのモチーフとともにCCマークが散りばめられ、モノグラムを形づくっています。

    時を超えて存在しているかのような、シャネルの「Le Cercle Privé」に漂うくつろいだ雰囲気とは対照的に、周りを颯爽と歩く67人のモデルたちのルックは、まさしく今のスタイルでした。

    オートクチュールの伝統的な技術と最新のテクノロジーの融合により、カール ラガーフェルドは自身の先進性を再び証明してみせました。シャネルを象徴するスーツは、「SLS(レーザー焼結)」という技術により、贅を凝らした3Dスーツへと生まれ変わりました。ペイントやビーズ、サテンのライニング、そしてレザーを用いたブレードが施されたスーツは、オートクチュールの未来を暗示しているようで、ノスタルジアが入り込む隙を与えません。構造的でグラフィカルなシルエットにマスキュリンなディテールがアクセントを添えるデイウェアから、アシンメトリーなラインと優雅なファブリック、洗練されたカラーパレットが織りなす壮麗なイヴニングまで、2015/16秋冬 オートクチュール コレクションには、尽きることのないシャネルの創造性が溢れています。

    Françoise-Claire Prodhon

  • 2015年3月12日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    THE FRENCH COLLECTION

    THE FRENCH COLLECTION

    2015/16秋冬 プレタポルテ コレクション ショーの舞台は、カール ラガーフェルドがデザインし、「ブラッスリー ガブリエル(Brasserie Gabrielle)」と名づけたパリのブラッスリー。グラン パレにしつらえられたセットは実際のブラッスリーよりも広大で、パリの人々のライフスタイルを象徴する存在として、コレクションの精神を完璧に表現するものでした。
    カール ラガーフェルドが「フランスらしさ」を巧みに取り入れて生み出した今回の「フレンチ コレクション」。パリならではのシックでコスモポリタンな雰囲気を纏い、世界のどの大都市にいても常に魅惑的な女性、すなわち、モダンな「ブルジョワ」のワードローブを再解釈するコレクションです。カール ラガーフェルドが「ニューブルジョワ」と称するこうした人々の足元を飾るのは、朝から夜まで履いていられるスクエア ヒールのベージュとブラックのスリングバック シューズ。カール ラガーフェルドは自身が手掛けた最初のコレクション以来、この象徴的なシューズを探求し続け、今回初めて新しいプロポーションを発表しました。コレクション ショーに登場した97人のモデルは全員、脚を細く見せ、女性に自信をもたらすこのバイカラー シューズを履いています。

    限りなくフェミニンなものから、時にはアンドロジナスなルックまで、ネイビー、グレー、バーガンディーを基調とした色合いに、タータンやハウンドトゥースが取り入れられています。コレクションに統一感を与えているのはシャネルを象徴するツイード。ジップや巧みなボタン使いでフロントを留め、縁にブレードをあしらったコート ドレスが新鮮な印象です。ツイードはまた、膝下丈やカーフ レングスのペンシル スカート、エレガントなジャケットやボリュームのあるウール コート、大振りな襟のバーサカラー ジャケット、流れるようなラインのスカートでもその存在感を示していました。わずかにフレアが入ったシルエットは、細いベルトでウエストを締めています。モデルが優雅に着こなしている、都会的な雰囲気で着心地のよいボンバー ジャケットのフロントは、シャネルのジャケットやスカート スーツ、キルティング コートを彷彿とさせるデザインで、刺繍が施されたパーカーにはイヴニング コートの品格が漂っていました。ツイードのスカートに合わせたジャカード プリントのセーター、オフショルダーのオーバーサイズ ニット、エレガントなバイカラーのAライン ドレス、ロング イヴニング ガウンなど、頻繁に登場するニットは、スポーティーにも洗練されたスタイルにも仕上げられていました。

    これまでよりさらにアンドロジナスな雰囲気のとても印象的なシルエットが行き交います。ショート丈のボックス コートから白いシャツやプラストロンをのぞかせたルックや、ウエストに何げなく巻いたロング エプロンにグログランのベルトをあしらったルックなど。エプロンは魅惑的であると同時にカジュアルでもあり、ジーンズや、スリムカットのレザー パンツ、ツイードのドレスと合わせて、新たなスリーピース スーツのスタイルを生み出していました。イヴニングはエレガントかつエネルギッシュで、シフォンのリトル ブラック ドレスをはじめ、ボウタイと折り畳んだナプキンにインスパイアされたディテールをあしらったトロンプルイユ ツーピース スーツ、透け感とレイヤリング、レースのスカートやドレスが印象的でした。また、華々しいフェザー スカートに、同じくフェザーをあしらったマキシ スリーブのウール カーディガンを重ねたスタイルも登場しました。

    フランソワーズ=クレール プロドン

    Photo by Olivier Saillant

  • 2015年1月29日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    THE WEDDING DRESS <BR />SPRING-SUMMER HAUTE COUTURE SHOW

    THE WEDDING DRESS
    SPRING-SUMMER HAUTE COUTURE SHOW

    シャネルの2015春夏 オートクチュール コレクション ショーを締めくくるルックとしてカール ラガーフェルドがデザインしたのは、ロマンティックかつモダンで、このうえなく優美なウェディングドレスでした。花の女神フローラからインスピレーションを得て生まれた、おとぎ話に出てきそうなこのドレスは、ルマリエのアトリエで10数人の職人たちの手により、3000を超えるパーツを集めて1ヶ月以上かけて仕立てられました。

    ショートスリーブのトップにはスパンコールの刺繍が施され、フレアになった裾の下には長いトレーンが広がり、花園のように花々が散りばめられています。繊細なピンクが時折のぞく淡い色づかい。無垢な花びらを巧みに重ねたコラージュには、シフォンやオーガンザ、ホワイトのプラスティック装飾、ラインストーン、パールが組み合わされています。伝統的な白いベールの代わりに、カール ラガーフェルドは雲のようなチュールが覆う、大きなつばの帽子を用いました。

    フランソワーズ=クレール プロドン

    Photo by Olivier Saillant

  • 2015年1月28日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    SPRING-SUMMER 2015 HAUTE COUTURE SHOW BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    SPRING-SUMMER 2015 HAUTE COUTURE SHOW BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    シャネルの2015春夏 オートクチュール コレクションの舞台としてグラン パレに出現した円形の温室。ショーのオープニングでは、紙製の熱帯植物がまるで魔法にかけられたように、色鮮やかで艶かしい大輪の花を次々と咲かせました。

    ボタニカル ガーデンの独特さと豊かさにヒントを得て、みずみずしく鮮やかなカラー パレットを豊富に取り入れた豪華なコレクション。ショーの雰囲気を決定づけたのは最初に登場したスーツのルックです。オレンジ、エレクトリック ブルー、ポーリン イエロー、ピンクといった色彩が、今回のコレクションの特徴的なシルエットであるモダンなスタイルを際立たせていました。足元にはブラック レザーのソックス付きブーティ。そして頭には、ブラック チュールのベールが覆うつばの大きいストロー ハット。長袖や7分袖のツイード クロップド ジャケットを、股上の浅いローカット スカートと組み合わせてウエストが覗くスタイルに。スカートのシルエットは、膝上のフレア、細身のストレート、あるいはふんわりと揺らめくものなどさまざまですが、いずれも極細のベルトが布地の動きに添い、ルックを仕上げる最高のアクセントになっています。シャネルを象徴するブラックとホワイトが強調するのは、スーツのグラフィカルで流れるようなライン。ブラック、ピンク、レッドのセットアップやドレスに、同じ色調の大振りなコートを纏いベルトをアクセントにしたルックは、シルク シフォンがレイヤリングや透明感に遊び心を添えています。エンブロイダリー、折り紙、ブレードやフリンジをあしらったシフォン、パール、スパンコールなどのあらゆる素材の効果と繊細なモチーフが、各アトリエの技巧を余すところなく伝えています。コレクションのテーマを強調するのは無数のフラワー モチーフ。その素晴らしさに酔いしれる一夜となりました。

    スカートやジャケット、スリーブで咲き誇る、オーガンザ、レザー、チュール、ロドイド、パールのブーケ。優美なシフォンのミトンやエレガントなニット キャップにも、芸術的な花々が散りばめられています。豪壮なガーデンを完璧なオートクチュール ファッションへと昇華させたシャネル。花の魔法を纏う女性たちはどこまでも詩的でモダンでした。

    フランソワーズ=クレール プロドン

  • 2014年12月9日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    PARIS-SALZBURG MÉTIERS D'ART SHOW <BR />BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    PARIS-SALZBURG MÉTIERS D'ART SHOW
    BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    シャネルが2014/15パリ‐ザルツブルク メティエダール コレクションの舞台に選んだのは、ロココ様式が壮麗なレオポルツクロン城。今回のショーはオーストリアの歴史からインスピレーションを得ています。それは、その優美な美しさから「シシィ」の愛称で知られるエリザベートが、オーストリア皇后だった時代。カール ラガーフェルドは、レーダーホーゼンやディアンドルといったこの地方の伝統衣装を、エレガントでありながらスポーティなカラーパレットを取り入れながら、モダンなラグジュアリーに仕上げました。4つのポケットを配したジャケットは、今回のコレクションを象徴するアイテムのひとつ。かつてマドモアゼル シャネルが、オーストリア滞在中にミッターシル ホテルで目にした、エレベーターボーイのジャケットをヒントに生まれたものです。コレクションでは、ボクシー ジャケットに鮮やかなタキシード ストライプのワイド パンツを合わせ、構築的で制服を思い起こさせるスタイルで登場します。

    フレア ジャケットやケープ、マキシ レングスのコートの背中には、伝統的なローデン コートに倣ってプリーツが施され、レザーのトリミングやゴールドのエンブロイダリー、羽根飾りやフラワー モチーフなどがオーストリア=ハンガリー帝国の時代を彷彿とさせます。ニットにはアルプスの花々が散りばめられ、オーストリアの伝統ファッションとして知られるレーダーホーゼンは、レザーのショート パンツと合わせられ、さらにハンドバッグのデザインにも取り入れられています。ホワイト、レッド、ネイビー、ブラックなどのシャネルを象徴するカラーを、フォレスト グリーンやカーキ グリーン、グレー、ブラウンなどのアクセント カラーが引き立てる多彩なカラー バリエーション。洗練されていると同時にスポーティでもある今回のコレクションでカール ラガーフェルドが意図したのは、現代性の追求でした。シャネルのアトリエの、その様々な卓越した技巧によって見事に再解釈されたオーストリアン スタイル。細部に至るまで繊細に仕上げられたエンブロイダリーや羽根飾り、プリーツが、コレクションにロマンティックな雰囲気を添えています。ツイードやレザー、カシミヤはローデンやフェルト、さらにサテンやファイユ、タフタ、レースなどの素材と合わせることで、新鮮な印象と若々しい躍動感を生み出しています。

    モデルの足もとには、エーデルワイスをあしらったモカシンや、アンクル ストラップのクロッグ、レースアップのサイハイ ブーツ。頭には羽根飾りをつけた帽子や、編んだ髪をまとめたように見えるイヤー マフ型のヘッドフォン。コレクションのジュエリーにはいずれも、ケーブルカーや鳩時計、エーデルワイスのモチーフなど、アルプスを讃えるテーマが取り入れられています。イヴニング スタイルの多くは、ブラックやホワイトのシルエットにフラワー エンブロイダリーがアクセントを添えるもの。ボディスやラフ(ひだ襟)、プリーツが柔らかい印象を醸し出す構造的なドレスに、パテント レザーのブーツを合わせることで、先鋭的なスタイルを完成させています。

    フランソワーズ=クレール プロドン

    Photo by Benoit Peverelli

  • 2014年12月3日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    THE CHANEL JACKET <BR />BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    THE CHANEL JACKET
    BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    シャネルのジャケットにまつわる物語。その始まりは、シャネルのスーツが誕生した1950年代初めまでさかのぼります。マスキュリンとフェミニンの2つの要素をあわせ持つ、モダンで着心地のよいこのスーツは、1950年代主流であった、身体を束縛し女性のライフスタイルに適さないスタイルに対するマドモアゼル シャネルの答えでもありました。
    「シャネルのスーツは活動的な女性のために作られています」と語ったマドモアゼル シャネル。さらに次のように付け加えています。「本当の意味で女性のことを考えて、私は女性が安心して着こなせるスタイルを求めました。車の運転もできて、しかも女性らしさを強調するものです」。瞬く間に成功をおさめたシャネルのスーツは、ジャケットとともに女性のワードローブに欠かせないものとなり、自由、そしてカジュアル エレガンスの同義語にもなりました。
    巻きスカートと組み合わせて着用するこの唯一無二のジャケットは、オーストリアの伝統的な紳士服からヒントを得ています。マドモアゼル シャネルを象徴する素材のひとつであるツイードから仕立てられ、直線的かつ構造的で、上から下までボタンを留めると、第二の皮膚のように身体にフィットするようにデザインされています。ショルダーパッドや硬い芯地は使われていません。

    動きやすく、同時にシルエットを維持できるように、生地は織目に沿ってまっすぐにカットされ、バストラインにもダーツは入れません。背中のカットも同様にシンプルで、中央に一本の縫い目があるだけです。縦型のサイドパネルがジャケットの前身頃と後ろ身頃をつなげています。袖も織目に沿ってまっすぐにカットされ、肩山に合わせて縫い合わされています。動きやすさや着心地を考えて、肘の部分にはダーツを入れ、腕の形に合わせてわずかに角度がつけられています。着る人が身体を自由に動かせるように、マドモアゼル シャネルは、両腕をそれぞれ反対側の肩に回してクロスさせた状態で採寸したものでした。着心地をよくするために、シルクのライニングも同じ基準でカットしました。ジャケットの裾には繊細なチェーンを縫いつけて、その重みでジャケットのシルエットを美しく保てるようにしています。アウトラインやポケット、袖口を飾るブレード(グログランやニットなど)が、ジャケットをグラフィカルに演出します。手を入れやすい位置につけられたポケット、そしてジャケットを完成させる最後の仕上げは宝石のようなボタン。そこにはライオンのモチーフ(マドモアゼル シャネルの星座は獅子座)や麦の穂、カメリア、CCマークのロゴなどが刻まれています。

    シーズンごとに新たな息吹が吹き込まれるジャケットは、シャネルを象徴するスタイルのひとつになっています。カール ラガーフェルドは次のように語っています。「シャネルのジャケットは、オーストリアの伝統的な紳士服からインスピレーションを得たものです。しかし、そこからマドモアゼル シャネルは、それまで存在していなかったスタイルを生み出しました。その偉業を脅かすことなど誰にもできません。このジャケットはシャネルのスタイルの象徴なのです。ファッションの世界で、いつの時代でも廃れないもの――それは、ジーンズ、白いシャツ、そしてシャネルのジャケットです」。

    フランソワーズ=クレール プロドン

    Photo by Benoit Peverelli

  • 2014年12月1日
    Par Françoise-Claire Prodhon
    CHANEL AND AUSTRIA <BR />BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    CHANEL AND AUSTRIA
    BY FRANÇOISE-CLAIRE PRODHON

    オーストリアが湛える魅力と雰囲気、山の多い地形に魅了されていたマドモアゼル シャネル。オーストリアには、豊かな文化と華やかな社交界に加えて、自然やスポーツ、アウトドアでの活動と、彼女が愛を注いだすべてが揃っていました。ジャン コクトーに宛てた1922年7月16日付けの手紙に、彼女は次のように記しています。「ツァラはチロルにいます。調子が良くなって、幸せそうです。きっと私も行くことになるでしょう」。当時の多くの芸術家がそうしたように、トリスタン ツァラは、ダダイズムの同志であるマックス エルンストやポール エリュアールとその地に滞在していました。
    19世紀半ば以来、ザルツブルクとオーストリア チロル地方は多くの人々が憧れる土地になりました。その人気が不動のものになったきっかけは、1920年に演出家のマックス ラインハルト、作曲家のリヒャルト シュトラウス、作家のフーゴ フォン ホーフマンスタールが創設したザルツブルク音楽祭です。音楽祭は毎年夏に開催されるオペラの祭典として、教養ある洗練された聴衆を集めるようになりました。

    1930年代初め、マドモアゼル シャネルがよく訪れていたスイスの有名なスキーリゾート、サンモリッツで、オーストリア貴族のフーベルト フォン パンツ男爵と出会います。優雅で礼儀正しい彼の魅力に惹かれたマドモアゼル シャネルは、その後2年にわたり親密な関係を続けました。1930年代の前半に、男爵はオーストリア ザルツブルク州でミッターシル城を購入し、ラグジュアリーな高級ホテルへと改装します。

    ホテルはたちまち評判になり、1936年には米国版ヴォーグに「オーストリアで最も話題のスポット」として取り上げられたほどでした。高い教養と気品あるマナーを兼ね備えたフーベルト フォン パンツ男爵は、グラモン公やポリニャック公夫人といった上流階級の顧客だけでなく、マリーネ ディートリッヒやダグラス フェアバンクス、コール ポーターなどの芸術家をも魅了しました。そして誰もが、洗練された雰囲気と伝統をあわせ持つこのホテルに惹かれました。宿泊客は、ゴルフや氷河のハイキングなどを楽しめた上、ファッションを愛する人々にとっては、伝統織物であるローデン製の衣類を買い求められる貴重なショッピングの機会にもなりました。このミッターシルでマドモアゼル シャネルの目に留まったものこそ、ホテルのエレベーターボーイが着用していた完璧なジャケットでした。1950年代初め、マドモアゼル シャネルはその記憶をもとに、あの象徴的なシャネルのスーツのジャケットを生み出し、1961年には、友人でオーストリア出身の女優、ロミー シュナイダーがそれをまとうことになるのです。

    フランソワーズ=クレール プロドン 

    1961年、ガブリエル シャネルによる 女優ロミー シュナイダーのフィッティング 
    Photo Giancarlo Botti ©BOTTI/STILLS/GAMMA

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