Jean Lebrun

  • 2014年7月31日
    Par Jean Lebrun
    SUMMER READING <BR />"NOTRE CHANEL" BY JEAN LEBRUN

    SUMMER READING
    "NOTRE CHANEL" BY JEAN LEBRUN

    ファッションの歴史に登場する人物のなかには、彼らの外見だけでなく内面まで知ることができる人がいます――早逝したジャン パトゥの記録は、丁寧に保存され、管理され、語り継がれてきました。だからこそ、2013年にこれらの記録を調査したエマニュエル ポールは、その真髄を1冊の本にまとめることができました。

    生前のパトゥとマドモアゼル シャネルは、同じ部屋にいることがお互いに耐えられない関係性だったという伝説が残されています。歴史的視点から改めて振り返れば、この伝説は正しいといえるでしょう。マドモアゼル シャネルとパトゥはまったく違うタイプの人間でした。マドモアゼルは多くの足跡を残していますが、記録として書かれたものはほとんど残っていません。新たな思い出が次々と語られていく中で、まるで彼女自身も記憶の迷路に迷いこんでいるかのようなのです。私たちはマドモアゼル シャネルについて書かれた95冊目の本を出版しようとしていますが、新しい作品が登場するたびに、彼女の人物像はいっそう曖昧なものとなり、本質を捉えるのはますます困難になっていくのです。

    「Notre Chanelと題した今回のプロジェクトは、約四半世紀前にマドモアゼル シャネルの生涯を調べていた2人の男性、ベルナールとジャンにとって彼女がどのような存在だったかを物語ることで、その本質を解き明かそうと挑戦しています。2人のうち1人はその後亡くなり、もう1人は執筆を再開しましたが、新たな伝記を作り上げることのないよう努めています。ある意味、この作品はステンドグラスの窓――礼拝堂の側面のステンドグラスの窓――のようです。その中でベルナールとジャンは、寄進者たちの表情が描かれた片隅で静かに瞑想していますが、永遠に完成することのない作品を通じて2人が力を合わせるきっかけとなったもうひとつの顔には手が届きません。この窓に描かれているマドモアゼル シャネルは聖女ではなく、むしろ魔法の妖精のような存在です。早逝し、忘れられていたベルナールの上に、彼女の栄光の光が差し込み、彼の道を照らし出しています。

    "Notre Chanel” (Our Chanel), Jean Lebrun, Bleu autour.